赤い羽根、政府が着用自粛でも募金は継続!北海道の使途不明金は解明前

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2026年10月1日、第80回の赤い羽根共同募金運動が全国で始まった。例年であれば、この時期は閣僚や省庁幹部の胸に赤い羽根が並ぶ。しかし今年、政府はその着用を自粛した。北海道共同募金会で約2億5,000万円の使途不明金が明らかになったためだ。それでも政府は、募金への協力そのものは呼びかけている。羽根は外すが、お金は出してほしい。原因も責任もまだ分かっていない今、この呼びかけは筋が通るのか。政府の対応、第三者委員会の調査日程、北海道の募金現場で起きていることを、事実をもとに整理する。

政府が赤い羽根の着用を自粛、それでも募金は呼びかけ

今年の運動開始で最も象徴的なのは、政府の対応の変化だ。

例年と変わったこと、変わらなかったこと

例年の慣行と今年の対応を並べると、次のようになる。

項目 例年 2026年度
大臣・省庁幹部の赤い羽根着用 厚生労働省が10月1日から2週間の着用を呼びかけ 着用を控えるよう政府全体に文書で通知
他省庁への着用協力の依頼 あり 依頼しない
政府としての広報 2025年は厚生労働大臣が運動のキックオフイベントに出席 積極的な広報活動は行わない(官房長官)
募金への協力の呼びかけ あり あり

出典:TBS NEWS DIG、朝日新聞、NHK(いずれも2026年10月1〜2日)、厚生労働省フォトレポート(2025年10月1日)

羽根を外す理由と募金を求める理由が食い違う

表の最後の行だけが例年と変わっていない。政府が着用を控えたのは、信頼が揺らいでいる募金を、閣僚が胸に羽根をつけて後押しするのは適切ではないと判断したからだと読める。そうであれば、同じ募金への協力を国民に求め続けることとの整合性が問われる。

PRを控える理由が「信頼が損なわれているから」であるなら、その状態で集められるお金の管理にも、同じ懸念が向けられて当然だ。政府は自らの姿勢は引いたまま、判断と負担だけを寄付者に委ねた形になっている。

北海道共同募金会の調査報告は募金期間の終盤

政府の対応以上に問題なのは、時間の順番だ。

報告書が出る前に運動の大半が終わる

使途不明金の発覚から今年度の運動開始、そして調査報告書の提出予定までを一本の時間軸に並べると、次のようになる。

北海道共同募金会の使途不明金問題の経緯と2026年度の募金運動期間。第三者委員会の調査報告書は運動期間の途中に提出される予定原因不明のまま募金報告後2026年度 募金運動期間2026年2月国税局の調査2026年6月使途不明金を公表2026年7月元事務局長を懲戒解雇2026年9月第三者委員会が発足不明金は計約2.5億円に10月1日運動開始2027年1月末調査報告書の提出予定2027年3月31日 運動終了報告書が出るまでに運動期間の約7割が経過

出典:北海道共同募金会の公表資料および報道をもとに当サイト作成。日付の位置はおおよそ

時期 出来事
2026年2月 国税局の調査が入る。第三者委員会はこの調査まで不明金が判明しなかった原因を調査項目に挙げている
2026年6月 北海道共同募金会が約1億8,000万円の使途不明金を公表(報道)
2026年7月 会計責任者だった元事務局長を懲戒解雇。着服の疑い(報道)
2026年9月11日 弁護士・公認会計士6人による第三者委員会が発足
2026年9月16日 新たに約7,000万円の使途不明金が判明し、合計約2億5,000万円に(報道)
2026年10月1日 2026年度の赤い羽根共同募金運動が開始
2027年1月末 第三者委員会の調査報告書の提出予定。提出後に公開予定
2027年3月31日 2026年度の募金運動が終了

出典:北海道共同募金会「第三者委員会の設置について」、HTB北海道ニュース、STVニュース北海道

運動は10月1日から翌年3月31日までの約半年間だが、原因と責任を明らかにするはずの報告書は1月末まで出てこない。報告書が公開される時点で、運動期間の約7割はすでに終わっている計算になる。寄付をするかどうかを考える人の大半は、何が起きたのかを知らされないまま判断を迫られることになる。

調べるのはこれから、改める仕組みもこれから

第三者委員会に委ねられた調査項目を見ると、今の時点で何が分かっていないのかがはっきりする。

No. 第三者委員会への調査委嘱事項
1 多額の使途不明金が発生し、財源不足に至った原因
2 使途不明金が2026年2月の国税局調査まで判明しなかった原因
3 元事務局長の関与の有無、関与の具体的内容と法的責任
4 役員・元役員の関与および責任の有無
5 再発防止策の提言
6 その他委員会が必要と認めた事項

出典:北海道共同募金会「北海道共同募金会における使途不明金事案の発生に対する第三者委員会の設置について」(2026年9月10日)

原因も、長く見過ごされた理由も、役員の責任も、再発防止策も、すべてが調査中だ。報道によれば、元事務局長は当時、会計全般を一人で管理できる状態にあったという。チェックが働かなかった仕組みそのものが委員会の結論待ちであり、その改善策が示される前に、新しい募金の受け入れが始まっている。当サイトが確認した第三者委員会設置の公式発表には、今年度に集める募金をどのような体制で管理するのかについての記載はない。不明金がどのように生じたのかは別記事で解説している。

札幌で募金ボランティアが激減、街頭募金の見送りも

組織の説明を待つまでもなく、北海道の募金現場ではすでに目に見える変化が起きている。

ボランティアは前年の4分の1以下に

共同募金を支えてきたのは、街頭や各家庭を回る地域のボランティアだ。その人数は、札幌市内で大きく落ち込んだ。

札幌市内の赤い羽根共同募金ボランティアの人数。2025年の約3,300人から2026年は約780人に減少2025年約3,300人2026年約780人札幌市内の共同募金ボランティア(報道ベース)

出典:STVニュース北海道(2026年10月1日)をもとに当サイト作成

街頭募金を見送る自治体も

ボランティアの減少は札幌だけの話ではない。道内各地で報じられている変化をまとめると、次のようになる。

地域 報じられている変化 報道
札幌市 参加団体が前年度より約300団体減少 HBC
ボランティアが前年度の4分の1程度に STV・HBC
協力企業に設置する募金箱が200個以上減少 STV
誹謗中傷など活動中のトラブルに備え、警察にパトロールを要請 HBC
苫小牧市・北見市など 例年商業施設などで行っていた街頭募金を見送り STV
恵庭市 市内10か所で街頭募金を実施したが、成果は思わしくなく、以前参加していた人から今回は遠慮したいとの声も UHB

出典:各社報道(2026年10月1〜2日)

集める側にいた人が手を引いた

STVの取材では、街頭募金が始まって1時間近くたっても、足を止めて募金する人の姿がなかったという。かつて街頭に立っていたという住民は、取材にこう語っている。

「原因とか対処方法を何も明らかにしないで募金を始めたというのはおかしいんじゃないかなと思う」

出典:STVニュース北海道(2026年10月1日)

この声は、本記事の問いそのものだ。寄付をためらっているのは一般の通行人だけではない。これまで募金を集める側にいた人たちが、今年は手を引いている。トラブルに備えて警察のパトロールを頼まなければならない状況は、組織の不祥事の矢面に、現場のボランティアが立たされていることを示している。

支援の必要性は寄付を求める理由になるか

札幌市共同募金委員会は、募金が落ち込めば福祉活動が停滞し、困りごとを抱えた人への支援も滞ると危惧している。この懸念は理解できる。ただ、支援を必要とする人を支え続けることと、説明を終えていない組織に新たな寄付を預けることは、本来別々に考えるべき問題だ。前者の必要性が、後者を正当化する理由にはならない。

信頼回復より先に募金を求める順番は正しいか

北海道共同募金会も、札幌の出発式に立った関係者も、謝罪の言葉と信頼回復への決意を口にしている。しかし信頼は、決意の表明ではなく、何が起きたのかの説明と、二度と起きないことを示す仕組みによって回復するものだ。その両方が、2027年1月末まで出てこない。

本来の順番は、原因と責任を明らかにし、再発防止策を示し、そのうえで改めて協力を求めることだったはずだ。今年の運動はこの順番を逆にした。政府が羽根の着用を控えたのは、その矛盾に気づいていたからではないか。それならば、運動の開始時期を見直す、少なくとも北海道では今年度の募金の管理体制を具体的に示してから協力を求めるといった対応もありえた。

不明金によって生じた助成の穴については、中央共同募金会が北海道への緊急支援を決めている。その法的な論点も別記事で取り上げた。

寄付するかどうかを判断する材料

共同募金に協力するかどうかは、任意の判断だ。判断材料として、これまでの募金がどの団体に渡ってきたのかは当サイトの北海道の令和6年度助成先一覧や都道府県別の助成先データで確認できる。第三者委員会の報告書が公開された段階で、当サイトでもその内容を検証する。

出典

※本記事における不正事案の情報は、北海道共同募金会の公表資料および各報道機関の公開情報に基づきます。元事務局長の着服は疑いの段階であり、刑事上の認定はされていません。調査は継続中です。

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