緑の募金は怪しい?強制なのか、町内会での集め方と使い道

募金団体
この記事は約7分で読めます。

緑の募金は怪しい?強制なのか、町内会での集め方と使い道

緑の募金(かつての緑の羽根募金)は、法律に基づいて国土緑化推進機構と都道府県の緑化推進委員会が行っている正規の募金である。強制ではなく、協力するかどうかは自由だ。

それでも「怪しい」と言われるのは、町内会や自治会費から天引きする集め方や、募金をめぐる着服事件、緑の募金を装った詐欺メールがあるためである。本記事では、その仕組みと使い道、断り方を公開資料と報道で確かめる。

緑の募金(緑の羽根募金)とは

緑の募金は、1950年に始まった緑の羽根募金を前身とし、今は森林づくりや緑化の財源として全国で集められている。赤い羽根の共同募金とは、目的も根拠となる法律も別の募金である。

運営は国土緑化推進機構と緑化推進委員会

1995年に制定された「緑の募金法」に基づき、国土緑化推進機構と都道府県の緑化推進委員会が実施主体となっている。集めたお金は、森林の整備、緑化の推進、これらに関わる国際協力を行う団体への助成に使われる。

募金の期間といくら払うか

募金の期間は、農林水産省の告示で毎年1月15日から5月31日と、9月1日から10月31日に決められている。町内会で回ってくる場合は、1世帯あたりの目安額が示されることが多い。

自治体 目安額 集め方と説明
袖ケ浦市(千葉県) 1世帯50円程度 区・自治会の長が取りまとめて市の窓口に納める
吉見町(埼玉県) 1戸100円程度 区長が取りまとめる。募金額は「任意の額」としている
白井市(千葉県) 記載なし 自治会が取りまとめる。「強制するものではありません」と明記

出典:袖ケ浦市(令和7年4月)、吉見町(令和6年1月)、白井市(令和7年4月)の回覧・依頼文書。掲載はこの3自治体の例のみ

吉見町では、集めた額の2分の1が町の緑化事業費として戻り、さらに10%の範囲で区長会に推進費が交付される。地元に戻る仕組みがあることも、自治会が集金をやめにくい理由の一つになっている。

緑の募金は強制ではない

国土緑化推進機構は、募金に協力する「緑の協力員」に守るべき事項を定め、その中で募金の強制を禁じている。白井市の依頼文書も「募金は個人の意思により行うものであり、強制するものではありません」と明記している。

町内会・自治会費からの天引き

毎日新聞は2024年5月、山梨市の「区」が緑の募金などを区費から天引きしている実態を報じた。組長の戸別集金が負担になり、約10年前に全戸分の天引きに切り替えたという。区長は「『募金』と名が付いていながら、もう強制的だ」と話している。

自治会費への上乗せを無効とした判決

滋賀県の自治会が、緑の募金や赤い羽根などへの寄付を自治会費に上乗せする決議をしたことについて、2007年に大阪高裁は無効と判断し、2008年に最高裁で確定した。上乗せされた寄付先には、市の緑推進委員会も含まれていた。

町内会で断るには

個別に集金に来た場合は、「緑の募金は任意と聞いているので、今回は見送ります」と伝えれば十分である。自治会費から天引きされている場合は、総会で募金分を自治会費から切り離すよう提案するとよい。進め方は赤い羽根募金は「任意」のはずが強制。自治会費天引き問題の実態と断り方で詳しく解説している。

緑の募金は廃止されたのか

緑の募金そのものは廃止されていない。一方で、岩手県一戸町は後述の着服事件を受けて2025年度の募金を中止した。長野県筑北村では、常会費から納めていた緑の募金を、反対した住民に返金した例も報じられている。

緑の募金の使い道

国土緑化推進機構によれば、令和5年の緑の募金は中央と地方を合わせて約20億円だった。募金は機構が行う中央の事業と、都道府県の緑化推進委員会が行う地方の事業に分かれて使われる。

緑の募金が家庭や学校などから集められ、国土緑化推進機構と都道府県の緑化推進委員会を通じて森林づくりの団体に助成される流れの図募金する人家庭・学校・街頭・企業・職場・ネット地方募金中央募金都道府県の緑化推進委員会国土緑化推進機構公募などで助成森林づくりなどの団体の活動森林の整備緑化の推進海外での植林などの国際協力

出典:国土緑化推進機構、林野庁の説明をもとに当サイト作成。地方募金と中央募金の配分の割合は、公式サイトに文字での記載がなく、確認できなかった

中央の公募で助成が決まった事業の内訳は次の通りである。

公募の種類 件数 金額
一般公募・森林整備 36件 3,910万円
一般公募・緑化推進 28件 2,720万円
一般公募・国際協力 34件 6,820万円
次世代公募・森林づくりの人材育成 18件 2,460万円
特定公募・若者支援につなぐ森林づくり 24件 3,200万円
特定公募・スギなど森林資源の有効活用 8件 870万円
子どもたちの未来の森づくり事業 26件 2,950万円
合計 174件 2億2,930万円

出典:国土緑化推進機構「数字で見る緑の募金」。2026年7月から2027年6月までの活動に対する助成として決定したもの。中央の公募事業のみで、地方募金による都道府県の事業は含まない

最も多くのお金が配られているのは国際協力の分野で、1件あたりの額も大きい。身近な植樹のイメージとは違い、中央に集まった募金の一部は海外の植林にも回っている。助成先は国内だけで約9,500団体にのぼり、配り先が細かく分かれていることが、使い道の見えにくさにつながっている。

緑の募金をめぐる着服事件と詐欺メール

緑の募金そのものは正規の募金でも、集めたお金の管理や、名前をかたる手口でトラブルは実際に起きている。

一戸町の職員による着服

岩手日報などは2025年4月、岩手県一戸町の40代の男性職員が、県緑化推進委員会の一戸支部の口座から約143万円を着服したとして懲戒免職になったと報じた。口座から19回にわたって引き出していたという。県緑化推進委員会の支部の口座を、町の職員が管理していたことになる。

赤い羽根でも起きた使途不明金

同じ構図は赤い羽根でも起きている。北海道共同募金会は2026年6月、会計責任者の事務局長が2020年から着服を繰り返していた可能性があるとして、約1億8千万円の使途不明金を公表した。9月には新たに7千万円が判明し、計約2億5千万円に拡大している。

緑の募金を装った詐欺メール

東京都緑化推進委員会は2025年12月、ボランティア団体を装って緑の募金を案内し、クレジットカード情報などを入力させようとする詐欺メールに注意を呼びかけた。協力するなら、メールのリンクではなく、国土緑化推進機構などの公式サイトを自分で開いて確かめたい。

出典

コメント

タイトルとURLをコピーしました