同じ共同募金でも別物。歳末たすけあいと赤い羽根はお金の流れが違う

基礎解説
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年末が近づくと、自治会の回覧板や街頭で「歳末たすけあい募金」への協力が呼びかけられる。10月から続く赤い羽根共同募金とどこが違うのか、同じものを二度集めているのではないかと感じる人も少なくないだろう。

歳末たすけあい募金は、法的には赤い羽根と同じ「共同募金」の一部である。しかし、はねっと公開データベース(当サイト集計)で助成の中身を比べると、お金が渡る先も使われ方も大きく異なることが分かる。本記事では、制度上の違いを整理したうえで、令和6年度(R6)の助成データから両者の性格の違いを確認する。

歳末たすけあいと赤い羽根は何が違うのか

まずは、募集の期間や主体、配分の時期といった制度面の違いを整理しておく。

項目 赤い羽根(一般募金) 地域歳末たすけあい NHK歳末たすけあい
募集期間 10月1日~翌年3月31日 12月の1か月間 12月(新潟県の例では1日~25日)
主な担い手 都道府県共同募金会と市町村の共同募金委員会 社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会、共同募金委員会 NHK、NHK厚生文化事業団、中央共同募金会の共催
配分の時期 原則として翌年度に申請を受けて配分 年末年始(12月~1月) 県内の福祉施設・団体などへ配分
主な使い道 地域福祉活動や施設・団体の事業 見舞金、おせち料理の配布、見守り訪問、年末年始の交流行事など 介護用品・生活用品・防災用品の購入、施設退所者の進学・就職準備金など

出典:中央共同募金会「地域歳末たすけあい」、千葉県共同募金会、新潟県共同募金会、福岡県共同募金会、墨田区社会福祉協議会の公表内容をもとに当サイト整理。運用の細部は地域によって異なる。

共同募金の一環に組み込まれた歳末たすけあい

中央共同募金会によれば、歳末たすけあいは戦後、共同募金とは別に各地で自然発生的に起きた運動だった。それが昭和34年(1959年)から共同募金の一環として行われるようになり(厚生労働省資料)、現在は赤い羽根と同じ社会福祉法上の共同募金として扱われている。

つまり、年末に二度目の募金を求められているように見えても、制度の上では同じ共同募金の中の別枠である。違いは集める時期だけでなく、集めたお金をいつ、誰に、何のために渡すかという設計にある。赤い羽根が翌年度の活動を支える「計画的な配分」を基本とするのに対し、歳末たすけあいは集めたその冬のうちに地域で使うことを前提としている。墨田区社会福祉協議会の例では、募金総額の半分以下を12月中に見舞金として配分すると説明している。

地域歳末とNHK歳末の二本立て

歳末たすけあいには、市町村単位で集めて地元で使う「地域歳末たすけあい」と、NHKと中央共同募金会などが共催する「NHK歳末たすけあい」の二つがある。前者は社会福祉協議会や民生委員が中心となる地域密着型、後者は放送を通じて広く呼びかけ、主に県内の福祉施設や団体へ配分する形だ。名前は似ているが、後述するようにデータ上の性格もはっきり分かれる。

歳末たすけあいの助成は社協に集中している

制度の違いは、実際の助成データにどう表れているのか。R6の助成を財源区分ごとに集計すると、歳末たすけあいの特徴が見えてくる。

9,489件
地域歳末たすけあいの助成件数(R6)
約32.1億円
地域歳末たすけあいの助成総額(R6)
89.6%
うち社協・共同募金会への助成(金額)
16.2%
見舞金に関する助成の割合(件数)

出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)。「見舞金に関する助成」は事業名または目的に「見舞」を含むもの。

財源区分(R6) 件数 総額 1件あたり平均 社協・共同募金会の割合(件数) 社協・共同募金会の割合(金額)
赤い羽根(地域) 29,921件 約70.7億円 約23.6万円 58.4% 82.2%
赤い羽根(広域) 3,843件 約30.2億円 約78.5万円 23.4% 40.4%
地域歳末たすけあい 9,489件 約32.1億円 約33.9万円 70.0% 89.6%
NHK歳末たすけあい 2,061件 約4.5億円 約21.7万円 18.9% 28.8%

出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)。団体名に「社会福祉協議会」「社協」「共同募金会」を含むものを社協・共同募金会として分類。

件数の内訳

金額の内訳

地域歳末たすけあいの助成先の内訳(R6)。出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)

赤い羽根の地域配分も社協の比重は高いが、歳末たすけあいはそれをさらに上回り、金額のほぼすべてが社協を経由している。1件あたりの平均額が赤い羽根の地域配分より大きいのも、個々の団体に細かく配るのではなく、市町村の社協にまとまった額を渡す形が多いためと考えられる。歳末たすけあいが「地域の社協が年末の支援をまとめて担う」仕組みであることが、数字の上でも裏付けられる。

社協に渡った先の使われ方は見えにくい

この構造には、透明性の面で見落とせない点がある。社協は受け取った歳末たすけあいの資金を、見舞金として支援の必要な世帯に配ったり、年末の行事や見守り活動に充てたりする。しかし、はねっとで確認できるのは多くの場合「どの社協にいくら配分されたか」までであり、その先で何世帯にどれだけの見舞金が渡ったのかは、各社協の報告を個別にたどらなければ分からない。

個人に渡る見舞金の性質上、受け取った人の情報を公開できないのは当然である。ただ、寄付した側からすれば、赤い羽根の地域配分以上に「社協に任せた後」の部分が大きいのが歳末たすけあいだということは知っておいてよい。

見舞金と生活困窮者支援に厚い使い道

助成のテーマ別の構成を比べると、歳末たすけあいが何のための募金なのかがよりはっきりする。

テーマ別の金額構成比(R6、主要8テーマ)。出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)

最も大きな違いは生活困窮者支援である。赤い羽根の地域配分ではごく小さな割合にとどまるこの分野が、歳末たすけあいでは主要なテーマの一つになっている。反対に、まちづくりや地域活動のように、年間を通じた地域づくりに向かう助成は赤い羽根の側に厚い。

見舞金に関する助成が歳末たすけあいに集中しているのも同じ流れの中にある。赤い羽根が翌年度の地域活動を支える「活動資金」だとすれば、歳末たすけあいは年を越す暮らしを支える「生活支援」の色合いが強い。発祥が救貧のための持ち寄りだったという経緯が、いまも使い道に残っているといえる。

NHK歳末は施設や団体への備品支援が中心

一方、同じ歳末でもNHK歳末たすけあいは性格が異なる。助成先の7割以上が社協以外の施設や団体で、テーマも障害者福祉と児童福祉が大きな比重を占める。介護用品や生活用品、防災用品の購入といった、施設の設備・備品を支える使われ方が中心であり、地域歳末たすけあいのような「社協を通じた生活支援」とは別の仕組みとして理解したほうがよい。

歳末たすけあいの募金は赤い羽根より大きく減っている

使い道の違いに加えて、募金額の推移にも差がある。当サイトで取得できている範囲の全国集計を、平成21年度を100とした指数で比べると次のようになる。

募金額の推移(平成21年度=100)。出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)。一般・歳末・NHK歳末の内訳が取得できている平成21~28年度のみ掲載(平成20年度はNHK歳末の内訳がないため除外)。

共同募金全体が縮小するなかで、歳末たすけあいの落ち込みは赤い羽根よりも急で、NHK歳末はさらに大きく減っている。歳末たすけあいは自治会や民生委員を通じた戸別の呼びかけに支えられてきた面が大きく、地域のつながりの変化の影響を受けやすいことが背景として考えられる。ただし、減少の原因を示す公式な分析は確認できておらず、この点は推測にとどまる。

なお、平成29年度以降については、当サイトのデータで一般・歳末の内訳を取得できていないため、直近の傾向はこのグラフからは読み取れない。

年末の募金の行き先を確かめるには

歳末たすけあい募金は、赤い羽根と同じ共同募金でありながら、年末年始に地域の社協を通じて生活支援に使われるという、はっきりした性格を持つ。お金の大半は社協に渡り、その先の見舞金や行事の中身は社協ごとの報告に委ねられている。

自分が住む地域で歳末たすけあいがどの社協や団体にいくら配分されているかは、当サイトの都道府県別の助成先データで財源区分ごとに確認できる。年末に募金箱の前で迷ったときは、赤い羽根との違いと、その先の使われ方を一度確かめてみてほしい。

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