データ・独自分析

令和7年度 千葉県共同募金会の決算を読む――募金額5.6%減、目標達成率90.3%

データ・独自分析

千葉県共同募金会は令和7年度の事業計画書・事業報告書・資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表の5点を公式サイトで公開している。多くの人が目にすることのないこれらの書類には、募金の集まり方から配分の内訳、そして帳簿上の不透明な数字まで、赤い羽根共同募金の実態を読み解く材料が詰まっている。本記事では、この5点セットを実際の数字ベースで検証する。

令和7年度 千葉県共同募金会の決算を読む――募金額5.6%減、目標達成率90.3%

令和7年度の募金総額は5億2,355万3,706円。前年度の5億5,458万8,850円から3,103万5,144円減り、前年度比5.6%の減額となった。

事業計画書自体が「本県における募金額は、平成7(1995)年度をピークに年々減少しています」と明記しており、今回の減額も30年近く続く長期トレンドの延長線上にある。

目標額5億8,000万円に対する達成率は90.3%で、前年度の95.6%から悪化した。内訳を見ると、募金全体の主力である一般募金が3億3,086万2,849円(前年比8.2%減)と大きく落ち込んでいる。市町村歳末たすけあいも4.6%減。唯一伸びたのはNHK歳末たすけあいで、前年比36.1%増の2,477万5,680円だった。

区分 令和7年度 令和6年度 前年度比
一般募金 3億3,086万円 3億6,045万円 △8.2%
市町村歳末たすけあい 1億6,792万円 1億7,594万円 △4.6%
NHK歳末たすけあい 2,478万円 1,821万円 +36.1%
合計 5億2,355万円 5億5,459万円 △5.6%

事務経費は約9.5%——「中抜き」批判を実際の数字で検証する

「赤い羽根は事務費に消える」という批判が根強い一方、実際の数字は資金収支計算書に明記されている。令和7年度の人件費支出は2,970万7,587円、事業費支出は1,586万2,793円、事務費支出は399万5,212円で、合計は4,956万5,592円。これを募金総額5億2,355万3,706円で割ると、比率は約9.5%となる。

この数字自体は、批判されるほど極端に高いとは言い切れない水準だ。ただし、この9.5%には広報・イベント・顕彰式典・スポーツ球団とのタイアップなど、募金の集金コストに関わる支出も含まれている。「集めるためのコスト」と「配るためのコスト」が事業費の中で明確に区分されておらず、外部から内訳を検証しづらい会計構造になっている点は指摘しておく必要がある。

貸借対照表に眠る3億2,569万円の「未交付配分金」とは何か

貸借対照表の負債の部を見ると、流動負債4億8,902万3,607円のうち、最大の項目は「未交付配分金」の3億2,568万8,230円だ。これは負債総額の66.6%を占める。前年度末は3億3,811万5,293円だったので、額としてはやや縮小しているが、依然として巨額であることに変わりはない。

未交付配分金とは、配分先・配分額はすでに決定しているものの、年度末時点でまだ実際に支払われていない金額を指す。令和7年度の共同募金配分金支出は4億3,800万9,182円だった。

単純に比較すると、1年間で実際に配られた金額に匹敵する規模の「配分決定済みだが未払い」の資金が、年度末時点で法人内に留まっていることになる。事業報告書にはこの滞留理由についての説明がなく、寄付者からすればブラックボックスのまま数字だけが積み上がっている状態だ。

項目 金額
流動負債合計 4億8,902万円
 うち未交付配分金 3億2,569万円(66.6%)
令和7年度 共同募金配分金支出(参考) 4億3,801万円

前年度比84%減の「共同募金以外寄付金」、説明のない急変動

事業活動計算書を見ると、「共同募金以外寄付金収益」が前年度の1億1,407万円から1,676万6,000円へ、84.5%減という極端な落ち込みを見せている。同様に「災害義援金収益」も前年度の1,378万9,497円から166万3,856円へ88%減った。

事業報告書にはこの急変動を直接説明する記載は見当たらない。ただし、理事会議事録には「令和6年能登半島地震に係る災害等準備金の追加拠出について」という報告事項があり、前年度(令和6年度)は能登半島地震への対応が重なっていた時期にあたる。大規模災害の発生有無によって「共同募金以外」の寄付収入が数千万円単位で振れること自体は自然なことだが、その因果関係を書類側が明示的に説明していない点は、決算を読む一般の寄付者にとって不親切だ。

千葉県館山市に寄付先を自分で選びたい場合の選択肢

赤い羽根共同募金は地域に細かく行き渡る一方で、寄付者自身が使い道を選ぶことはできない。館山市を直接応援したい場合は、返礼品つきで使い道をある程度選べる「ふるさと納税」という制度もある。返礼品は館山市の特産品や名産品が中心で、寄付額に応じて実質的な自己負担額を抑えながら地域を応援できる仕組みになっている。館山市にも、ふるさと納税を通じて選べる返礼品が複数用意されており、その一例を紹介する。

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誰が多く寄付したかは分かるが、誰に渡ったかは分からない

事業報告書には、高額寄付者への表彰実績が個人・団体名つきで詳しく掲載されている。紺綬褒章(寄付500万円以上の個人)が1件、中央共同募金会会長感謝楯(100万円以上の団体)に千葉信用金庫、中央共同募金会会長感謝状(3年間で60万円以上の団体)には以下の8団体が名を連ねている。

区分 対象
紺綬褒章(500万円以上) 個人1件(氏名非公開)
中央共同募金会 会長感謝楯(100万円以上) 千葉信用金庫
中央共同募金会 会長感謝状(3年間60万円以上) ヒゲタ醤油株式会社(銚子市)
栫築炉工業株式会社(佐倉市)
ちば興銀「小さな親切」運動推進本部
千葉トヨタ自動車株式会社
生命保険協会千葉県協会
京葉銀行小さな親切運動推進本部
株式会社トポスエンタープライズ
ブリヂストンレディースオープン大会実行委員会

一方、配分先の情報はこれと非対称だ。一般募金・広域配分の1億3,778万8,242円、一般募金・地域配分の2億1,697万円、市町村歳末たすけあい助成の1億6,791万5,177円は、いずれも総額のみが報告され、個別の配分先団体名・金額の内訳は事業報告書に記載されていない。NHK歳末たすけあい助成も「102件、2,068万8,000円」という件数と総額の形でしか示されていない。

寄付する側の名前は表彰という形で広く公開される一方、受け取る側の内訳は総額に丸められて見えなくなる。この非対称な情報公開の設計自体が、「使いみちが分からない」という寄付者の不満を再生産している。

球団コラボの募金規模、全体の0.08%にとどまる

令和7年度は千葉ロッテマリーンズ、ジェフユナイテッド市原・千葉、千葉ジェッツ、バルドラール浦安、オルカ鴨川FC、柏レイソルと、県内の主要プロスポーツ球団すべてとタイアップ募金を展開した。金額の規模を表にまとめる。

募金手法 実績 金額
寄付付き自動販売機 86台設置 173万円
チャリティーオークション バルドラール浦安コラボ・6品 7万円
イベントブース募金 マジカルミライ2025・3日間 217万円
3手法の合計 約397万円(募金総額の約0.08%)

事業計画書自体が「戸別募金は、本県の募金総額の70パーセント以上を占める重要な募金」と明記している通り、これら新しい取り組みを合計しても募金総額5億2,355万円の1%に満たない規模にとどまる。

ガチャガチャ・PayPay──街頭募金のゲーム化に注意が必要

金額としては小さいが、手法としては見過ごせない要素が含まれている。イベント募金用に「ガチャガチャ機体」を新規購入し、市町村支会がレンタルして使える仕組みを構築したことが事業報告書に記載されている。

ガチャガチャは本来くじ引き・射幸性を伴う遊具であり、それを寄付の受け皿に組み込んでいる。

一部市町村の街頭募金ではPayPayも導入され、現金を手渡す「重み」のない、タップ一つで完結する寄付体験へと置き換わりつつある。

バルドラール浦安のオークションも、寄付という行為を「入札」というゲーム的な行為に組み替えている。

事業報告書は学校向けのキャラクター施策強化も明記しており、対象には児童・生徒も含まれる。

使途を理解した上での「熟慮された寄付」ではなく、その場の高揚感や射幸心で財布を開かせる設計は、金額の小ささとは別の次元で注意を払う価値がある。

公開書類を読むだけでも、募金額の減少という課題の裏で「お金の流れ」の説明が薄いままだという、赤い羽根共同募金が抱える構造的な課題の輪郭が見えてくる。

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