制度・問題点

赤い羽根の助成審査は誰が決めるのか。配分委員会の仕組みと不透明さの問題

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赤い羽根の助成審査は誰が決めるのか。配分委員会の仕組みと不透明さの問題

赤い羽根共同募金は毎年全国で約160億円を集め、1万件以上の団体・施設に助成する。その助成先を決めるのは「配分委員会」という組織だ。法律で設置が義務付けられているが、誰が委員で、どんな基準で審査し、なぜその団体が選ばれたのかは、ほとんど公開されていない。本記事では審査プロセスの仕組みと不透明さを整理する。

配分委員会とは何か

配分委員会は社会福祉法によって設置が義務付けられた委員会だ。

社会福祉法第117条第2項は「共同募金会は、寄附金の配分を行うに当たっては、配分委員会の承認を得なければならない」と定め、同第119条は「共同募金会は、共同募金を行うには、あらかじめ、都道府県社会福祉協議会の意見を聴き、及び配分委員会の承認を得て、共同募金の目標額、受配者の範囲及び配分の方法を定め、これを公告しなければならない」と定めている。

つまり配分委員会は、助成先の決定に法律上必ず関与しなければならない機関だ。「福祉関係者や有識者などで構成される」(赤い羽根公式サイト)とされているが、具体的な構成要件は法律に定めがなく、各都道府県共同募金会の裁量に委ねられている。

助成先決定までの流れ

民間福祉団体・施設が助成申請を提出
市区町村レベルの「地区配分推せん委員会」が一次審査
都道府県共同募金会の「配分委員会」が最終審査・承認
助成決定・はねっとに掲載(団体名・金額・事業名)

出典:社会福祉法第117条・第119条・赤い羽根公式サイト

市区町村レベルでは「地区配分推せん委員会」が地域の申請を審査し、都道府県の配分委員会に推薦する形を取る。東京都の場合は「共同募金地区配分推せん委員会」、神奈川県では各市町村に「助成審査委員会」が置かれるなど、呼称と仕組みは都道府県によって異なる。

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委員は誰か——公開水準のばらつき

配分委員会の委員名を公開しているかどうかは、都道府県によって大きく異なる。

一部の都道府県共同募金会は委員名を年次報告書やウェブサイトに掲載しているが、多くは「福祉関係者・有識者で構成」という説明にとどまり、具体的な氏名は公開していない。審議内容・議事録についても、公開しているケースはほぼない。

委員の構成として確認できるパターンは以下の通りだ。

  • 社会福祉協議会の役職員
  • 社会福祉施設の管理者・理事
  • 民生委員・児童委員
  • 大学教員・研究者
  • 弁護士・公認会計士などの専門職
  • 地域住民代表(自治会長など)

ここで問題になるのが構造的な利益相反だ。社会福祉協議会や社会福祉施設の関係者が委員に含まれている場合、自らが関係する団体への助成審査に参加することになりかねない。社会福祉法は利益相反回避について委員レベルでの明確な規定を設けておらず、各委員会の自律的な対応に委ねられている。

審査基準は公開されているか

助成先の審査基準(採点基準・評価項目・重み付け)を公開している都道府県共同募金会は極めて少ない。

一般的に審査の際には申請書類(事業計画・予算・前年度実績など)が評価されるとされているが、何点以上で採択、どの項目が何点、という具体的な基準は公開されていない。落選した団体への通知も「採用されませんでした」という結果のみで、落選理由の説明はない。

これは企業の補助金審査や公的機関の助成事業と比べても透明性が低い。例えば厚生労働省の補助金では審査基準・配点・審査員の分野が公開されているケースが多く、落選理由についても「書面による通知」が求められる事業が増えている。赤い羽根の配分委員会はこうした流れに乗り遅れている。

赤い羽根福祉基金の審査はさらに不透明

都道府県共同募金会が行う通常の共同募金の配分とは別に、中央共同募金会が独自に運営する「赤い羽根福祉基金」の審査はさらに不透明だ。

Wikipediaの「共同募金」の項目によると、赤い羽根福祉基金の助成先は中央共同募金会が選出した5〜6名で構成される「各審査委員会」が決める。審査委員会は事業ごとに存在し、中央共同募金会の内部の者・大学教員・NPO/社会福祉法人/一般社団法人の関係者などで構成されている。

この審査委員会の委員名、審査内容、採点基準、落選理由はすべて非公開だ。2016〜2022年の赤い羽根福祉基金助成1,567件のうち、Colabo・ぱっぷす・若草プロジェクトの3団体だけで5件の最高額(1,000万円)助成を受けたという事実がある。なぜこれほど特定の団体に集中したのかは、審査委員会の非公開を理由に説明されていない。

問題の本質——「誰が決めたか分からない助成」

はねっとで公開されているのは助成の「結果」だ——どの団体に、いくら、何の目的で助成されたか。しかし「プロセス」は見えない。

なぜAという団体が選ばれ、Bという団体は落選したのか。配分委員会の委員は誰で、どんな議論をしたのか。審査基準は何で、各団体は何点を取ったのか。これらは一切分からない。

毎年約160億円が動き、1万件以上の助成が行われる事業の意思決定プロセスが、これほど不透明なままであることは問題だ。法律が配分委員会の設置を義務付けているにもかかわらず、その委員の構成・審査基準・議事内容の公開については何も定めていない。この法律上の「穴」が不透明さを温存してきた。

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プロセスの非公開が生む不信の構造

  • 助成先は「配分委員会」が決める。社会福祉法で設置が義務付けられているが、委員の構成・審査基準・議事内容の公開義務はない
  • 委員名を公開している都道府県は少数。社協・施設関係者が委員に含まれる場合、利益相反の問題がある
  • 落選理由の通知はなく、採点基準も非公開。結果(はねっと)は公開されるがプロセスは見えない
  • 赤い羽根福祉基金の審査委員会はさらに不透明で、特定団体への助成集中の理由も説明されていない
  • 法律が委員会設置を義務付けながら、透明性については何も定めていないことが根本的な問題だ

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