制度・問題点

赤い羽根ポスターモデルの歴代一覧に見る5つの転換点

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赤い羽根ポスターモデルの歴代一覧に見る5つの転換点

赤い羽根共同募金のポスターモデルは、1977年の草刈正雄を皮切りに、時代ごとに顔ぶれを変えてきた。その中から、起用の背景に特に意味を持つ5人——草刈正雄、ピンク・レディー、俵万智、成田真由美、桜井日奈子——を取り上げ、それぞれの起用の意味を掘り下げる。

起用モデル ジャンル 代表作・実績
1977年 草刈正雄 俳優 『真田丸』(NHK大河)/当時は資生堂「MG5」CMでブレイク後
1978年 ピンク・レディー 歌手(アイドルグループ) 「UFO」「サウスポー」
1979年 竹下景子 女優 『北の国から』雪子おばさん役
1980年 北の湖(大相撲力士) 大相撲力士 第55代横綱
1981年 金沢明子 民謡歌手 「イエロー・サブマリン音頭」
1982年 伊藤つかさ 女優・アイドル歌手 『3年B組金八先生』赤上近子役
1983年 堀ちえみ 女優・歌手 『スチュワーデス物語』(1983年、同年大ヒット)
1984年 大原麗子 女優 『男はつらいよ』シリーズ
1985年〜1997年 モデル起用なし
1998年〜2000年 俵万智 歌人 歌集『サラダ記念日』
2001年 成田真由美 パラリンピック競泳選手 金メダル15個を含む通算20個のメダル
2002年 柊瑠美 女優 映画『千と千尋の神隠し』(声の出演)
2003年 宮地真緒 女優 ドラマ・舞台を中心に活動
2004年〜2006年 石原さとみ 女優 NHK大河『義経』静御前役ほか
2007年 石橋杏奈 女優 映画『きみの友だち』で最優秀新人賞
2008年〜2018年 モデル起用なし
2019年〜2021年 桜井日奈子 女優 ドラマ『君と世界が終わる日に』シリーズほか
2022年〜2024年 モデル起用なし

この一覧の中で、①運動そのものに著名人起用の慣習を根付かせた「初代」、②唯一のグループ起用、③13年の空白を破った復活の起用、④芸能人ではなく競技者を選んだ異色の起用、⑤11年の空白を破った直近の起用——という5つの「転換点」にあたるのが、これから紹介する5人だ。

草刈正雄が赤い羽根の初代ポスターモデルに選ばれた理由

赤い羽根共同募金は1947年に始まった運動だが、著名人をポスターモデルに起用する形式が確認できるのは1977年の草刈正雄からだ。運動開始から実に30年が経過してからの起用であり、以降ほぼ毎年続く著名人起用の慣習は、この年から始まったことになる。

公式に選定理由を説明する資料は見当たらないが、翌1978年にピンク・レディー、1979年に竹下景子と、当時人気絶頂だったスターの起用が続いたことを踏まえると、運動の認知度向上を目的とした広報施策が、この時期に本格的に導入されたと見るのが自然だ。

ピンク・レディーが赤い羽根に起用された1978年

草刈正雄の翌年、1978年にポスターモデルを務めたのがピンク・レディーだ。歴代モデルの一覧を見渡しても、個人ではなくグループが起用された例はこの1978年のみで、後にも先にも例がない。

項目 内容
起用年 1978年(第2代モデル)
起用形態 グループ起用(歴代モデル中、唯一の例)
前後の起用 1977年:草刈正雄(個人)/1979年:竹下景子(個人)

1978年当時のピンク・レディーは、「UFO」「サウスポー」などのヒット曲を連発し、国民的な人気を誇っていた時期にあたる。個人ではなくグループをあえて起用した点は、当時のアイドル人気の高さをそのまま広報効果に取り込もうとした結果と考えられる。

俵万智が13年ぶりに復活させた赤い羽根のポスター起用

1984年の大原麗子を最後に、赤い羽根のポスターモデル起用は13年間途絶える。1998年、この空白を破って起用されたのが歌人の俵万智だった。

1984年まで
空白 13年間
1998年〜

1984年の大原麗子から1998年の俵万智起用までの空白期間

それまで女優・アイドルが中心だった人選の中で、歌人という異色の人選だった点も特徴だ。俵万智は1987年に歌集『サラダ記念日』で社会現象的なヒットを記録しており、その知名度と文化的な発信力が、広報の新しい形として選ばれた一因と考えられる。俵万智は1998年から2000年まで3年連続で起用された。

成田真由美、赤い羽根で唯一のパラリンピック選手起用

2001年、俵万智の後を継いでポスターモデルを務めたのが、パラリンピック競泳選手の成田真由美だ。歴代モデルの中で、芸能人ではなくアスリートが単独で起用されたのはこの年のみで、大相撲力士の起用(1980年・北の湖)を除けば異色の人選といえる。

項目 内容
赤い羽根起用年 2001年
パラリンピック出場歴 1996年アトランタ〜2021年東京の6大会連続出場
通算成績 金メダル15個を含む、計20個のメダルを獲得
代表的な功績 2004年アテネ大会で1大会7つの金メダルを獲得

成田真由美は中学生の時に下半身が不自由になり、23歳で競泳を始めた経歴を持つ。「水の女王」と呼ばれるほどの実績を残し、2001年の赤い羽根起用は、2000年シドニーパラリンピックでの活躍を受けてのものだったと見られる。なお、成田真由美は2025年9月に55歳で逝去している。

桜井日奈子、11年ぶりの赤い羽根ポスターモデル

2007年の石橋杏奈を最後に、赤い羽根のポスターモデル起用は再び11年間途絶える。2019年、この2度目の空白を破って起用されたのが桜井日奈子だ。桜井日奈子は2019年から2021年まで3年連続で起用された。

1度目の空白(13年)が俵万智によって、2度目の空白(11年)が桜井日奈子によって破られたことになる。いずれも空白明けの起用は3年連続で続くという共通点があり、赤い羽根が著名人を起用する際の型の一つとして定着していたことがうかがえる。桜井日奈子以降、2022年から2024年にかけては、3度目の空白期に入っている。

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ポスターモデルの起用が映す、赤い羽根の広報の歴史

著名人起用は赤い羽根の広報施策の一つの手法に過ぎず、その時々で「起用する時期」と「起用しない時期」を繰り返してきた。空白期がいずれも10年前後という長さになっている点は、単なる予算の都合というより、広報方針そのものが定期的に見直されてきたことを物語っている。復活の起用が3年連続で続くという型も、1998年の俵万智、2019年の桜井日奈子と、時代をまたいで繰り返されている。

今回取り上げた5人は、この流れの中で「初代」「唯一のグループ起用」「空白明けの復活」「芸能人以外の起用」という、それぞれ異なる転換点にあたっていた人物にすぎない。歴代モデル全体を通して見えてくるのは、特定の個人の魅力に依存した広報ではなく、時代ごとに手法そのものを見直し続けてきた運動の姿だ。

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