「Colaboへの助成は赤い羽根共同募金ではなく赤い羽根福祉基金からだ」——2023年1月10日、中央共同募金会はこう説明した。同じ「赤い羽根」を冠する2つの制度は、財源・法的根拠・運営主体・助成対象がまったく異なる別制度だ。本記事では2つの違いを整理し、この区別が実際に何をもたらしているかを検証する。
赤い羽根福祉基金と共同募金の違い。Colabo問題で注目された2制度の使い分け
まずは2つの制度の違いを一覧で整理する。
| 赤い羽根共同募金 | 赤い羽根福祉基金 | |
|---|---|---|
| 創設 | 1947年(昭和22年) | 2016年度 |
| 運営主体 | 都道府県共同募金会(47法人) | 中央共同募金会(1法人) |
| 財源 | 街頭・自治会・職域・ネット等の募金 | 企業・団体・個人からの直接寄付 |
| 法的根拠 | 社会福祉法第112条〜第124条 | なし(中央共同募金会の独自基金) |
| 実施期間 | 10月1日〜翌3月31日(法定) | 年間を通じて随時受付 |
| 助成上限 | 規定なし(都道府県ごとに異なる) | 年間1,000万円・最大3年間 |
| 助成対象の制限 | 社会福祉を目的とする事業を経営する者のみ(社会福祉法117条) | 制限なし(独自基準) |
| 翌年度への繰越 | 原則禁止(翌年度3月末までに配分) | 基金として積み立て可能 |
赤い羽根共同募金とは
赤い羽根共同募金は社会福祉法第112条に位置づけられた法定の募金制度だ。毎年10月〜3月の6ヶ月間、全国一斉に実施される。
社会福祉法117条では、集めた寄付を社会福祉事業を経営する者以外に配分することが禁じられており、さらに集めた翌年度の3月31日までに配分を終えることも定められている。この制限が、クルド人支援やLGBTQ支援への助成をめぐる議論の核心にある。
財源は主に街頭・自治会・職域(会社)・学校での募金だ。自治会費への上乗せ問題など「強制徴収」の問題が生じやすいのも、この赤い羽根共同募金の集め方に起因する。
赤い羽根福祉基金とは
赤い羽根福祉基金は2016年度、中央共同募金会が創設した独自の基金だ。社会的孤立や児童虐待、認知症高齢者の生活支援といった、既存の制度だけでは対応しきれない課題に取り組む先駆的な活動を、全国的な視点から資金面で継続的に支援する狙いで設けられた。
赤い羽根共同募金と決定的に異なる点が2つある。第一に財源が企業・団体・個人からの「直接寄付」であり、街頭募金とは別ルートで集める。第二に社会福祉法の対象制限(117条)を受けない独自基金であるため、都道府県の枠を超えて、年間最大1,000万円まで、最長3年間にわたる助成が可能だ。
Colabo・ぱっぷす・若草プロジェクトへの助成、外国にルーツがある人々への支援活動応援助成、LGBTQへの助成はいずれもこの赤い羽根福祉基金からの拠出だ。
Colabo問題で「使い分け」が批判された経緯
2023年1月10日、中央共同募金会はColaboとぱっぷすへの助成についてのリリースを公表した。要旨は、両団体への助成は都道府県の共同募金会が実施する「赤い羽根共同募金」ではなく、中央共同募金会が独自に寄付を募る「赤い羽根福祉基金」によるものだ、という説明だった。
このリリースは炎上を収めるどころか、批判をさらに拡大した。SNS上では「同じ赤い羽根なのに財源の違いで説明を逃れようとしている」「街頭募金ではないと言っても、企業の寄付も社会の善意であることに変わりない」という批判が噴出した。
また、Colaboは福祉基金のほかに新型コロナキャンペーン枠からも助成を受けていたとの指摘がSNS上であり、リリースが説明しなかった部分から批判がさらに広がった経緯もある。
「使い分け」批判の中身と、赤い羽根側の説明
タイトルにある「使い分け」という言葉は、批判側の視点を踏まえたものだ。その内容を整理する。
社会福祉法117条の制限を福祉基金は受けない
赤い羽根共同募金は社会福祉法117条により「社会福祉事業者以外への配分禁止」という制限を受ける。一方、赤い羽根福祉基金はこの制限を受けない独自基金だ。批判側は、社会福祉事業への該当性が議論になりうる活動への助成が、法的制限のない福祉基金から行われている点を問題視している。
「赤い羽根」ブランドの共有と説明責任の所在
受益団体にとっては「赤い羽根から助成を受けた」という実績になる一方、問題が生じた際には「共同募金ではなく福祉基金から」という区別で説明される。批判側はこの構造を「都合のいい使い分け」と見ている。
赤い羽根側の説明
これに対し中央共同募金会側は、2つの制度は設計思想が異なり、使い分けは合理的だとの立場を示している。共同募金は地域の草の根福祉活動を支える安定財源として、福祉基金は既存制度で対応しきれない先駆的な課題に挑む団体を支援するものとして、それぞれ設計されているという説明だ。
2つの「赤い羽根」を見分ける視点
- 赤い羽根共同募金は社会福祉法に位置づけられた法定制度・街頭募金が財源・社会福祉法117条の配分制限あり
- 赤い羽根福祉基金は2016年度創設の中央共同募金会独自基金・企業寄付が財源・社会福祉法の配分制限なし
- Colabo・若草・ぱっぷす・クルド人支援・LGBTQ支援はいずれも福祉基金枠からの助成
- 批判側は「法的制限のない福祉基金を使うことで、配分制限を実質的に回避できる構造になっている」と指摘
- 中央共同募金会側は「2つの制度は設計思想が異なり、合理的な使い分けだ」と説明している

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