議論・炎上

赤い羽根理事が代表の団体に2,725万円。利益相反はなかったのか

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赤い羽根理事が代表の団体に2,725万円。利益相反はなかったのか

Colabo問題が炎上した2023年1月、赤い羽根共同募金をめぐる別の問題が浮上した。中央共同募金会の理事・早瀬昇氏が理事長を務める社会福祉法人大阪ボランティア協会に、4年間で1,185万円が助成されていたことが判明したのだ。さらに早瀬氏がかつて代表理事を務めた日本NPOセンターへの1,540万円の助成も確認された。2団体合計では2,725万円に上る。本記事では事実関係と利益相反の問題を整理する。

早瀬昇氏とは

早瀬昇氏(1955年生まれ)は、日本の市民活動・ボランティア分野のベテランだ。1978年から大阪ボランティア協会に勤務し、同協会の理事長を務める。同時に中央共同募金会の理事(学識経験者枠)も務めてきた。その他の肩書きは多岐にわたる。

組織 役職
中央共同募金会 理事(学識経験者枠)
社会福祉法人大阪ボランティア協会 理事長
日本NPOセンター 顧問(元代表理事)
日本ファンドレイジング協会 理事
日本ボランティアコーディネーター協会 理事

ボランティア・NPO分野における第一人者として長年にわたって活動してきた人物であり、共同募金の理事就任自体は「学識経験者として知見を提供する」という趣旨だ。しかし、その人物が理事長を務める団体が同じ赤い羽根から助成を受けていたという事実が、2023年1月に発覚して批判を集めた。

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大阪ボランティア協会への助成——4年間で1,185万円

はねっとの公開データで確認できる大阪ボランティア協会への助成は以下の通りだ。

年度 事業名 助成種別 助成額
平成30年度 広報紙「VOLO」発行・ボランティア開発事業 NHK歳末たすけあい 300万円
令和元年度 広報紙「VOLO」発行・ボランティア開発事業 NHK歳末たすけあい 285万円
令和2年度 広報紙「VOLO」発行・ボランティア開発事業 NHK歳末たすけあい 300万円
令和3年度 広報紙「VOLO」発行・ボランティア開発事業 NHK歳末たすけあい 300万円
合計(4年間) 1,185万円

出典:はねっと公開データベース(当サイト集計)

4年間同一の事業名・同一の助成種別で毎年約300万円が継続的に助成されている。広報紙「VOLO」は大阪ボランティア協会が発行する市民活動総合情報誌で、長年継続している出版事業だ。

日本NPOセンターへの1,540万円——もう一つの関連団体

さらに調査が進むと、早瀬氏がかつて代表理事を務めた日本NPOセンターへの助成も確認された。早瀬氏が中央共同募金会の理事を務めていた2017年(平成29年)当時、赤い羽根から日本NPOセンターの事業に1,540万円が助成されていた。

これをNHK歳末たすけあいからの1,185万円と合算すると、早瀬氏の関連2団体への助成合計は2,725万円に上る。

利益相反とは何か——法的・制度的な問題の整理

「利益相反」とは、ある人物が複数の立場を持つ場合に、一方の利益が他方の不利益につながりうる状態を指す。企業法務の世界では厳格に管理されている概念だ。

社会福祉法では、理事による利益相反取引を以下のように規定している(第45条の16第4項で準用する一般法人法第84条)。

理事が自己または第三者のために法人と取引しようとするとき、または法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするときは、理事会において当該取引の重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

ただしこの規定は「取引」を対象としており、助成金の交付が「取引」に該当するかどうかは解釈が分かれる。また社会福祉法第27条は「社会福祉法人は、その評議員、理事、監事その他の関係者に特別の利益を与えてはならない」と定めている。早瀬氏が「関係者」にあたり、大阪ボランティア協会への助成が「特別の利益」に該当するかどうかが問われる点だ。

重要な反論——「中央共同募金会は助成先決定に関与していない」

この問題を論じる際に見落とせない重要な反論がある。

中央共同募金会とNHK歳末たすけあいを実施する各都道府県共同募金会は、組織的にも財政的にも独立した別組織だ。

大阪ボランティア協会への助成はNHK歳末たすけあいの枠組みから行われており、その実施主体は大阪府共同募金会だ。早瀬氏が理事を務める中央共同募金会ではない。Wikipediaの早瀬昇の項目でもこの点が明記されており、「各共同募金会が実施するNHK歳末たすけあいなどの助成事業の助成先決定に、中央共同募金会はまったく関与していない」と説明されている。

つまり「中央共同募金会の理事が自分の団体への助成を決めた」という構図は、組織の仕組みを正確に理解すれば成立しない。早瀬氏は大阪府共同募金会の役職を持っておらず、大阪ボランティア協会への助成の意思決定に関与できる立場にない。

この点は批判を受けた側の重要な弁明であり、事実として正確だ。

それでも残る問題——外形的な懸念と透明性

しかし反論が正確であるとしても、以下の問題は残る。

① 外形的な懸念の問題 組織が独立していても、「赤い羽根ブランドの資金が、赤い羽根理事の関連団体に継続的に流れている」という外形は変わらない。寄付者からすれば「赤い羽根の偉い人の団体にお金が行っている」という印象は拭えない。外形的な利益相反の回避は、組織のガバナンスにおいて重要な原則だ。

② 説明責任の問題 仮に法的・制度的に問題がないとしても、「なぜ毎年同じ団体に同じ金額が継続的に助成されているのか」「選考過程に理事との関係を考慮したプロセスがあったのか」という説明が必要だ。赤い羽根からこの点についての公式説明はない。

③ 「赤い羽根福祉基金」との違いの問題 日本NPOセンターへの1,540万円は赤い羽根福祉基金からの助成とされており、こちらは中央共同募金会が実施する事業だ。早瀬氏が中央共同募金会の理事であり、かつ日本NPOセンターの代表理事だった当時の助成については、組織の独立性を根拠とする反論が成立しにくい。

④ ガバナンスの原則問題 上場企業や大規模公益法人では、理事・取締役が利害関係を持つ取引について審議から外れる「利益相反回避」が慣行となっている。中央共同募金会が同様の基準を設けているかどうかは公開されていない。

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反論を踏まえてもなお問われる説明責任

  • 中央共同募金会理事・早瀬昇氏が理事長を務める大阪ボランティア協会に、NHK歳末たすけあいから4年間で計1,185万円が助成されていた
  • 早瀬氏が元代表理事を務めた日本NPOセンターへの助成も1,540万円確認され、関連2団体への合計は2,725万円
  • 重要な反論:大阪ボランティア協会への助成を決定したのは大阪府共同募金会であり、中央共同募金会の理事である早瀬氏は助成先決定に関与できる立場にない
  • ただし日本NPOセンターへの助成は中央共同募金会が実施主体であり、この点では反論が成立しにくい
  • 法的問題の有無にかかわらず、外形的な利益相反・選考過程の透明性・説明責任の問題は残る

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