NHKと赤い羽根は「共催」だった——歳末たすけあい募金の知られざる構造
年末になるとNHKで呼びかけられる「歳末たすけあい」。てっきりNHKが独自に行っている募金活動だと思っていた人も多いのではないだろうか。実はこれ、NHK単独の事業ではなく、赤い羽根共同募金の運営元である中央共同募金会、そしてNHK厚生文化事業団という3者による「共催」事業だ。この記事では、あまり知られていないこの構造を整理する。
NHK歳末たすけあいとは何か
NHK歳末たすけあいは、NHKが1951年(昭和26年)から実施している運動で、中央共同募金会・NHK・NHK厚生文化事業団の3者共催という形で毎年12月1日から25日にかけて行われる。開始当初は「みんなで明るいお正月を」というキャッチフレーズのもと、戦災者や引揚者など不遇の生活を送る人々に餅代を贈り、子どもたちにお年玉を贈ることを趣旨としていた。現在は、国内の生活困難者、身体・知的障がい者、支援を必要とする高齢者などを対象とする活動の支援に充てられている。
「共催」という位置づけである以上、NHKが単独で集めて単独で配るという仕組みではない。実際に寄付金の受付・配分を担うのは、共同募金の実施主体である各都道府県共同募金会だ。NHKは主に広報・呼びかけの役割を担い、実務は共同募金会の枠組みの中で処理されるという分業になっている。
歳末たすけあいには2種類ある
「歳末たすけあい」と一口に言っても、実は2つの異なる募金が存在する。市町村の区域ごとに行われる「地域歳末たすけあい」と、全国規模で行われる「NHK歳末たすけあい」だ。
地域歳末たすけあいは、市町村単位の共同募金委員会が地域福祉活動計画に沿って独自に実施するもので、NHKは関与しない。一方のNHK歳末たすけあいは、前述の通りNHK・NHK厚生文化事業団・中央共同募金会の共催によって全国一斉に行われる。同じ「歳末たすけあい」という名前がついていても、実施主体・関与する組織が異なる、別々の仕組みだという点は見落とされがちだ。
集めたお金はどう使われるか
歳末たすけあいへの寄付金は、通常の赤い羽根共同募金(一般募金)とは使い道の時間軸が異なる。歳末たすけあいの寄付金は、年末年始に困難を抱える人々への「見舞金」として、寄付を集めたその年度のうちに使われる。一方で、地域福祉サービス事業など継続的な取り組みへの充当は、原則として翌年度に持ち越される。
通常の赤い羽根共同募金(一般募金)の運動期間が10月1日から翌年3月31日までの6か月間にわたるのに対し、歳末たすけあいは12月の1か月間に集中する短期集中型の募金だ。ある自治体の説明では、赤い羽根募金(一般募金)は集まった額の一部が地元の福祉活動に使われるのに対し、歳末たすけあい募金は原則として全額がその地域の福祉活動に使われるとされており、地元還元の割合という点でも一般募金とは性格が異なる。
「NHK海外たすけあい」という別枠
NHK歳末たすけあいと同じ時期に、もう一つ別の仕組みが動いている。「NHK海外たすけあい」だ。これはNHK・NHK厚生文化事業団・日本赤十字社の共催で実施されるもので、国内向けのNHK歳末たすけあいとは異なり、海外への人道支援を目的としている。共催の相手が中央共同募金会ではなく日本赤十字社である点が異なり、赤い羽根とは別の資金の流れになる。
同じ時期にテレビで呼びかけられるため混同されやすいが、「歳末たすけあい」は国内向け・赤い羽根(共同募金)との共催、「海外たすけあい」は海外向け・日本赤十字社との共催、という違いがある。
「共催」という構造が意味すること
NHK歳末たすけあいは、NHKという公共放送の知名度・呼びかけ力と、共同募金会が持つ全国的な募金の受付・配分の仕組みを組み合わせた事業だ。NHKが単独で福祉事業を行っているわけではなく、実務の中心はあくまで各都道府県共同募金会にある。この「共催」という構造を知っておくと、年末に呼びかけられる募金が誰によって、どのような枠組みで運営されているのかが見えやすくなる。

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