愛知県の赤い羽根共同募金、令和6年度の助成記録をたどると、福祉施設や地域活動への助成に混じって、敬老会の開催費や敬老金の配分にも募金が使われていることがわかった。最も多くを受け取ったのは、募金を集めた愛知県共同募金会自身だ。はねっと公開データベースを当サイトが独自に集計し、社協・共同募金会を除いた実際の助成先まで分析する。
愛知県の令和6年度助成、敬老会や敬老金にも赤い羽根が回る
まず、愛知県で令和6年度に記録された助成の全体像を確認しておく。
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度)
事業ごとの金額を並べると、上位に敬老に関わる事業が複数入っている。
| 団体名 | 事業名 | 金額 |
|---|---|---|
| 一宮市社会福祉協議会 | 敬老の日行事助成 | 900万円 |
| 岡崎学区社会教育委員会 | 岡崎学区敬老会助成事業 | 581万円 |
| 刈谷市地区公民館 | 敬老金配分事業 | 222万円 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度)
一宮市社協の「敬老の日行事助成」は、1件の事業としては県内で4番目に大きい。敬老会は地域の高齢者を祝う行事として定着しているが、困っている人を支えるという募金のイメージとは距離がある。特に刈谷市の「敬老金配分事業」は、事業名を見る限り、募金が高齢者へのお祝い金として配られている形だ。寄付した人の多くは、自分の募金が敬老行事の費用や祝い金になるとは想定していないだろう。
最大の受け取り手は愛知県共同募金会自身だった
団体別に金額を合計すると、1位は募金を集めた側である愛知県共同募金会だった。以下は773団体のうち、金額の大きい上位5団体を抜き出したもので、全団体の一覧ではない。
| 団体名 | 金額 | 件数 |
|---|---|---|
| 愛知県共同募金会 | 6,493万円 | 27件 |
| 豊田市社会福祉協議会 | 2,562万円 | 19件 |
| 一宮市社会福祉協議会 | 2,534万円 | 23件 |
| 愛知県社会福祉協議会 | 2,062万円 | 8件 |
| 豊橋市社会福祉協議会 | 2,049万円 | 23件 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、上位5団体のみ)
愛知県共同募金会の27件には、「法定災害等準備金積立」の2,200万円が含まれている。事業別に見ても、この準備金の積立は県内で最も金額の大きい事業だった。準備金は大規模な災害に備えて共同募金会が手元に積み立てるお金で、この時点ではどの団体にも渡っていない。それが助成の記録の中に並んでいるため、はねっとの助成額をそのまま「地域に届いたお金」と読むと、実態より多く見積もることになる。
このほか、児童養護施設などを出る子どもの就職・進学の支度を支える事業(1,320万円)や、障害者支援施設への寄付金の贈呈(1,099万円)も、共同募金会自身の名前で記録されている。県全体を対象にした事業を本会が直接行っているためとみられるが、記録上は誰が最終的に受け取ったのかまではわからない。
社協・共同募金会を除くと金額は3割にとどまる
上位に並ぶ社協と共同募金会が、助成全体の中でどれだけの割合を占めているかを、団体数と金額の両方で比べた。
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、「社協」の略称表記を含む)
助成先773団体のうち、社協・共同募金会は1割ほどにすぎないが、助成金額全体の7割を受け取っている。団体数で9割近くを占めるその他の団体に回ったのは、金額全体の3割弱だ。社協は受け取ったお金を地区の活動へさらに配る役割を持つため、ある程度の集中は仕組み上避けられない。では、社協・共同募金会を除いたその他の団体には、どのような助成が届いているのか。
車両や建物の助成は仕様ごとに金額がそろう
社協・共同募金会を除いた上位には、福祉施設の車両や建物への助成が目立つ。
| 団体名 | 事業名 | 金額 |
|---|---|---|
| 生活介護事業所ぴかっと | 福祉車両整備(2500cc・車いす最大4人) | 300万円 |
| 鳥見作業所 | 福祉車両整備(2000cc・車いす最大1人) | 250万円 |
| ヒュッゲおがわのもり | 福祉車両整備(2000cc・車いす最大1人) | 250万円 |
| ケアハウス南生苑 | 福祉車両整備(2000cc・車いす最大2人) | 250万円 |
| 重症児デイサービスhoshi | 建物の改築(身体障害者用トイレ) | 300万円 |
| 森孝しぜんかん | 建物の補修(屋上の防水工事) | 300万円 |
| しおみの丘 | 建物の補修(床・壁・照明など) | 300万円 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、社協・共同募金会を除く上位20件より抜粋)
愛知県の車両の助成は、事業名に排気量や車いすの乗車数まで書き込まれているのが特徴だ。2000ccの3件は乗車数が違っても同じ250万円で、排気量ごとに金額の枠が決まっているとみられる。軽自動車にあたる660ccの車両整備も、7件・計596万円が記録されている。建物の補修や改築も、工事の中身が防水からトイレまで異なるにもかかわらず300万円で並び、この金額が上限として設けられている可能性がある。施設側から見れば、どの規模の車両や工事なら助成の対象になるのかがわかりやすい仕組みといえる。
名古屋市では区の子ども会や老人クラブに少額が重なる
金額ではなく受け取った回数に注目すると、別の顔が見えてくる。社協・共同募金会を除いて3件以上の助成を受けた団体の上位は、名古屋市の区単位の団体がほぼ占めていた。
| 団体名 | 件数 | 金額合計 |
|---|---|---|
| 昭和区子ども会育成連絡協議会 | 9件 | 103万円 |
| 中川区子ども会連合会 | 8件 | 55万円 |
| 中川区老人クラブ連合会 | 7件 | 18万円 |
| 名古屋市南区子ども会連絡協議会 | 6件 | 48万円 |
| 名古屋市中区子ども会連合会 | 6件 | 45万円 |
| 瑞穂区老人クラブ連合会 | 6件 | 40万円 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、社協・共同募金会を除き3件以上受けた団体の上位6団体)
子ども会や老人クラブの連合会が、1件あたり数万円の助成を年に何度も受けている。行事や活動ごとに別々の助成として記録されているためとみられ、1回あたりの金額は小さくても、区の団体が募金の受け皿として定着していることがうかがえる。一方で、県全体では助成先773団体のうち約7割が1件だけの受給で、繰り返し受け取る団体は一部に限られる。
受け取った団体を名前から特定できない記録
公開されている記録の中には、受け取った団体を特定できないものもある。団体名の欄が「緑区内福祉関係施設・団体、ボランティア等」や「地域福祉団体」となっている記録は、実際にどこへお金が渡ったのかがわからない。「十四山東部」小学校」のように、かぎかっこが紛れ込んだ表記の誤りもそのまま残っている。団体名が空欄の記録も2件あった。
金額の小さい側では、名古屋市守山区社協の「福祉教育」が220円で記録されている。小学校の児童会・生徒会への育成費も645円で並ぶ。数百円の助成が1件として記録される一方で、同じデータベースに数千万円の準備金の積立が並んでいる幅の広さも、愛知県のデータの特徴だ。
敬老金から準備金まで、愛知県の助成が映すもの
愛知県の助成記録からは、敬老会や敬老金といった行事・祝い金への助成、共同募金会自身の準備金の積立、車両や建物の仕様ごとにそろった金額、名古屋市の区単位の団体への少額助成の積み重ねが見えてきた。いずれも、助成の総額だけを見ていては気づかない募金の使われ方だ。令和6年度(2024年度)の愛知県助成先一覧では、今回取り上げきれなかった団体も含めて確認できる。
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