岩手県共同募金会は令和7年2月、宮古市共同募金委員会の会計担当職員による募金の着服を公表しました。県内で共同募金の着服が発覚したのは初めてのことです。募金会はその後、被害額の確定や全市町村を対象とした点検調査、再発防止策の策定まで進めており、令和7年9月に一連の対応を報告しています。
発覚の経緯
令和7年2月28日、岩手県共同募金会は記者会見を開き、宮古市共同募金委員会の会計を担当していた宮古市社会福祉協議会の職員が、赤い羽根共同募金や歳末たすけあい運動の募金を着服していたと発表しました。会見には募金会の高橋進専務理事、宮古市共同募金委員会の伊藤健二会長、有原領一事務局長が出席しています。
この職員は令和3年10月から委員会の会計を担当していました。令和5年12月から令和7年1月にかけて、数十回にわたり委員会の口座から現金を引き出し、あわせて集金中の募金にも手を付けています。1回あたり最高で約50万円を引き出したこともあったとされ、生活費や借金の返済に充てていたと説明されています。
被害額と処分
警察への捜査依頼を経て確定した被害額は、預金の引き出しが234万5,286円、集金中の募金の着服が21万円で、合計255万5,286円です。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 預金の引出し | 2,345,286円 |
| 集金中の募金の着服 | 210,000円 |
| 計 | 2,555,286円 |
当該職員は令和7年2月10日付で懲戒解雇。管理監督責任者である事務局長も、9月4日付でけん責の懲戒処分を受けています。被害額は全額弁済され、懲戒解雇という形で社会的制裁も受けたことから、募金会は「検察に送致されても、これ以上の処分は見込めない」として、警察への被害届提出に向けた捜査継続を求めない判断をしました。
全市町村点検調査の結果
岩手県共同募金会は、宮古市以外に同様の不適正な取扱いがないかを確認するため、県内すべての市町村共同募金委員会を対象に、令和5年度・令和6年度分の会計帳簿・預金通帳・領収書・請求書を全て突合する点検調査を実施しました。
| 確認内容 | 令和5年度 確認件数 | 令和5年度 不明な入出金 | 令和6年度 確認件数 | 令和6年度 不明な入出金 |
|---|---|---|---|---|
| 会計帳簿 | 32,595 | 0 | 33,689 | 0 |
| 預金通帳 | 14,740 | 0 | 12,984 | 0 |
| 領収書・請求書 | 30,495 | 0 | 29,159 | 0 |
| 合計 | 77,830 | 0 | 75,832 | 0 |
合計で15万件超の帳票を突合した結果、宮古市以外に不明な入出金は確認されませんでした。
岩手県盛岡市に寄付先を自分で選びたい場合の選択肢
赤い羽根共同募金は地域に細かく行き渡る一方で、寄付者自身が使い道を選ぶことはできない。盛岡市を直接応援したい場合は、返礼品つきで使い道をある程度選べる「ふるさと納税」という制度もある。返礼品は盛岡市の特産品や名産品が中心で、寄付額に応じて実質的な自己負担額を抑えながら地域を応援できる仕組みになっている。盛岡市にも、ふるさと納税を通じて選べる返礼品が複数用意されており、その一例を紹介する。
再発防止に向けた取組
岩手県共同募金会は再発防止策として、まず職員研修を実施しています。4月11日には会計研修会を開き、不適正事案発生の防止に向けた対応策について説明・議論を行いました。8月19日には法令遵守・コンプライアンスをテーマとした職員研修会も実施しています。
あわせて、出納業務を適正に行うためのチェックリストを、今回の事案を踏まえて改定しました。全市町村共同募金委員会がこのチェックリストで点検を行い、その実施状況を岩手県共同募金会が確認したうえで、県共同募金会と市町村共同募金委員会の間で情報を共有する体制としています。従来は各委員会の会計担当者に管理が委ねられていた部分に、県レベルでの点検・確認という一段階を加えた形です。
岩手県は一人当たりの募金額が例年全国で1・2位を争う県です。今回の点検調査は帳票ベースでは異常を検出しませんでしたが、宮古市の事件自体も約1年2カ月にわたり発覚しなかったことを踏まえると、事後の帳票突合だけでどこまで同種の事案を防げるかは、今後の運用次第という面が残ります。
岩手県の助成金データ一覧

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