「赤い羽根の寄付は何に使われているのか」。本記事では岩手県共同募金会が令和6年度(2024年度)に行った助成を当サイトが独自集計し、団体別・用途別に分析する。岩手県は上位事業のうち複数が「歳末たすけあい」関連の配分事業で占められている点が特徴だ。
赤い羽根の岩手県分、上位事業の半分近くが歳末たすけあい関連だった(令和6年度)
1件あたり平均約42.4万円という水準は、後述の通り上位に1,000万円規模の大口助成が複数含まれていることの表れだ。実際には数千円規模の小口給付も多く、平均値だけでは実態をつかみにくい。
寄付総額と公開助成データの差
岩手県の令和6年度の寄付総額は約3億4,850万円だった。一方、はねっと公開データベース上で確認できる助成総額は約2億6,585万円で、両者の間には約8,265万円の差がある。この差額は寄付総額の約23.7%にあたる規模だ。差の内訳が中央共同募金会への拠出金なのか、翌年度繰越なのか、事務費なのか、あるいは単にはねっとへの登録漏れなのかは、公開データだけでは判別できない。「集めた寄付がどこまで見える形で使われているか」を検証する本サイトにとって、この差額がどこにあるのかは最も重要な未解決の論点であり、今後の情報公開請求や追加調査の対象として記録しておく。
分類上は「その他の地域福祉」が突出して多い
公開データの分類区分(テーマ)で見ると、岩手県の助成のうち「その他の地域福祉」に該当する事業が総額の約38.8%を占めている。ただしこの区分には、宮古市・滝沢市・紫波町・久慈市・陸前高田市など複数の社協が実施する歳末たすけあい系の在宅配分事業のほか、社協だよりなどの広報物発行、激励金給付、ボランティア・市民活動センターの運営といった性質の異なる事業が幅広く含まれている。単一の事業や要因によって38.8%に達しているわけではなく、分類区分に多様な事業がまとめられている結果と見るのが妥当だ。
助成先団体ランキング
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・R6年度)
| 団体名 | 金額 | 件数 |
|---|---|---|
| 一関市社会福祉協議会 | 2,602万円 | 12件 |
| 奥州市社会福祉協議会 | 2,577万円 | 14件 |
| 岩手県共同募金会 | 1,820万円 | 9件 |
| 盛岡市社会福祉協議会 | 1,591万円 | 18件 |
| 花巻市社会福祉協議会 | 1,451万円 | 16件 |
| 宮古市社会福祉協議会 | 1,338万円 | 20件 |
| 岩手県社会福祉協議会 | 1,000万円 | 9件 |
| 滝沢市社会福祉協議会 | 894万円 | 15件 |
| 久慈市社会福祉協議会 | 797万円 | 19件 |
| 北上市社会福祉協議会 | 777万円 | 19件 |
一関市社協と奥州市社協が上位2団体でほぼ並び、3位の岩手県共同募金会自体も9件で1,820万円と大口の助成を受けている。「岩手県共同募金会」と「岩手県社会福祉協議会」は別法人としてそれぞれ上位10位以内に入っており、募金会と県社協の両方に助成が流れている構造が確認できる。上位10団体には市町村社協が広く分散しており、特定の1団体が突出する形にはなっていない。
歳末たすけあい関連事業が上位事業の中心
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・R6年度) 赤:歳末たすけあい関連 紫:災害準備 青:その他事業
| 事業名 | 金額 | 件数 |
|---|---|---|
| 歳末たすけあい配分事業 | 1,178万円 | 1件 |
| 災害等準備金積立 | 1,039万円 | 1件 |
| 地域歳末たすけあい在宅配分 | 738万円 | 1件 |
| 歳末たすけあい義援金配分(在宅者助成) | 702万円 | 1件 |
| 歳末たすけあい在宅者配分 | 694万円 | 2件 |
上位10事業のうち5事業が「歳末たすけあい」の名を冠した配分事業で占められている。1位の歳末たすけあい配分事業は一関市社協が受給し、3位の地域歳末たすけあい在宅配分は盛岡市社協、4位の歳末たすけあい義援金配分は花巻市社協と、複数の市社協がそれぞれ独自の名称で年末の在宅世帯支援事業を実施している構図がわかる。2位の災害等準備金積立は岩手県共同募金会自身が受給しており、歳末たすけあいとは別枠の災害対応資金として積み立てられている。
岩手県盛岡市に寄付先を自分で選びたい場合の選択肢
赤い羽根共同募金は地域に細かく行き渡る一方で、寄付者自身が使い道を選ぶことはできない。盛岡市を直接応援したい場合は、返礼品つきで使い道をある程度選べる「ふるさと納税」という制度もある。返礼品は盛岡市の特産品や名産品が中心で、寄付額に応じて実質的な自己負担額を抑えながら地域を応援できる仕組みになっている。盛岡市にも、ふるさと納税を通じて選べる返礼品が複数用意されており、その一例を紹介する。
|
|
二戸市社協は32件の受給で最多
助成先150団体のうち111団体(約74%)は令和6年度に1件のみの助成を受けている一方、二戸市社協は32件と突出して受給回数が多い。総額では731万円と上位10団体には入らないものの、件数の多さは県内で最多だ。次いで受給29件の団体、20件台の団体が複数続いており、地域によって助成の受け方に大きな差があることがわかる。
最高額と最低額、差は7,000倍近くに
626件の助成の中で最高額は一関市社協が受給した「歳末たすけあい配分事業」の1,178万5,000円、最低額は滝沢市社協の「フードパントリー」でわずか1,700円だった。その差は約6,932倍にのぼる。市社協レベルの年末配分事業と、地域の一活動に充てられた千円台の助成が同じ「助成」という枠組みに同居している。後者のような少額の助成は、金額の大小ではなく地域の細かな活動を支える赤い羽根の性質を象徴する事例といえる。
よくある質問
Q. 岩手県の助成事業になぜ「歳末たすけあい」関連が多いのか。
A. 公開データ上では、年末に在宅の低所得世帯や高齢者世帯を対象とした配分事業が、一関市・盛岡市・花巻市など複数の市社協で独自の名称のもとに実施されている。名称が統一されていないため、集計上は別々の事業として上位に並ぶ形になっている。

コメント