東京都の赤い羽根共同募金、令和6年度の助成先団体別ランキング上位を見ると、区の社会福祉協議会に混じって保育園や就労支援団体の名前が並ぶ。これは他県ではあまり見られない現象だ。はねっと公開データベースを当サイトが独自集計し、順位を押し上げている正体を確認する。
東京都の令和6年度助成、物品寄付という現物支給が社協を上回る
まず全体像を押さえておく。令和6年度の東京都は以下の規模で助成を行っている。
助成先団体別ランキングの上位5団体を見ると、世田谷区社会福祉協議会や東京都共同募金会に混じって、梨の木福祉会青梅梨の木保育園と育て上げネットという2つの非社協系団体が食い込んでいる。この2団体を押し上げているのが「物品寄付」という助成の形だ。
| 団体名 | 金額 | 件数 |
|---|---|---|
| 世田谷区社会福祉協議会 | 3,643万円 | 10件 |
| 社会福祉法人 東京都共同募金会 | 3,014万円 | 4件 |
| 梨の木福祉会青梅梨の木保育園 | 2,902万円 | 2件 |
| 東京都社会福祉協議会 | 2,331万円 | 9件 |
| 育て上げネット | 2,273万円 | 1件 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、上位5団体を抜き出した一例で全団体の一覧ではない)
育て上げネットの2,273万円は「物品寄付(健康機器、美容機器)の配布」というただ1件の助成でできている。事業別の集計を見ると、この活動名は都内合計で5,853万円・5件、1件あたり平均は1,171万円にのぼる。もう一つの類型「物品寄付(健康機器、雑貨等)の配布」も3,212万円・2件で、平均は1,606万円と同水準だ。現金の助成なら1件あたり数十万円が相場のなかで、物品という形をとった助成だけが桁違いの単価になっている。
社協・共同募金会が金額の半分に届かない、東京都の分布
行政委託事業を担う立場を踏まえれば、区市町村社協が上位に並ぶこと自体は想定の範囲内だ。ただし東京都の場合、社協・共同募金会を除いた「その他の団体」の存在感は他県よりはっきりしている。
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、「社協」の略称表記を含む)
団体数ではその他の団体が9割を占めるという構図は他県と変わらない。違うのは金額の側で、社協・共同募金会は半分に届かず、その他の団体が上回っている。区市町村社協への集中が金額面でも圧倒的、という前提が東京都にはそのまま当てはまらない。
特殊浴槽整備をめぐって、複数施設の助成額が同じ帯に集まる
社協・共同募金会を除いた実態のなかで、金額の集まり方が目を引くのが特殊浴槽整備だ。多摩同胞会信愛泉苑・聖風会千住桜花苑・東京都同胞援護会ゆたか苑の3施設はいずれも500万円ちょうどで、サンフレンズ善福寺(495万円)、(福)浄風園浄風園(482万円)、こぐれの杜(460万円)、仁愛会桧原サナホーム(455万円)、不二健育会ケアポート板橋(432万円)と、複数の高齢者施設が432万円から500万円の帯に収まっている。
| 団体名 | 金額 |
|---|---|
| 多摩同胞会信愛泉苑 | 500万円 |
| 聖風会千住桜花苑 | 500万円 |
| 東京都同胞援護会ゆたか苑 | 500万円 |
| サンフレンズ善福寺 | 495万円 |
出典:はねっと公開データベース(当サイト集計・令和6年度、社協・共同募金会を除く上位20件より抜粋)
金額が完全一致する施設がある一方で432万円から500万円まで幅もあり、他県で見られる「1件○○円ぴったり」という定額枠とは少し性質が違う。上限500万円付近に収まるよう査定される仕組みがあるとみるのが自然だろう。
町会・自治会という括りが、数千円単位の助成を積み重ねている
受給回数の分布を見ると、1,270団体が単発受給である一方、自治会・管理組合という括りだけで75件、住民団体が26件、小平市高齢クラブが26件と、突出して多い受給者が存在する。ただしこれらは特定の1団体ではなく、多数の町会・自治会・住民団体をまとめて登録した名称だ。
自治会・管理組合の75件は合計でも68万円、1件あたりに直すと1万円に満たない。実際、最低額の事例を見ると「自治会・住宅管理組合ご近所ふくし応援助成金」が1,136円、共同募金地区協力会の事業が937円という、桁の小さい助成が記録に残っている。特殊浴槽整備のような数百万円単位の大口助成と、町会単位の数百円〜数千円の小口助成が、同じ「助成」という枠組みの中に同居している構図がここでも見える。
都外の秋田県にある施設が、東京都の委託先として名を連ねる
社協・共同募金会を除いた上位には、秋田県北秋田市に所在する秋田県民生協会合川新生園も入っている。地名だけを見ると東京都のデータに紛れ込んだ誤記のようにも映るが、同施設は昭和54年に東京都の知的障害者施設として同法人へ運営が委託された、東京都の委託施設だ。利用対象も東京都民に限られている。都内に立地しない施設が東京都の助成先として登場するのは、この委託の経緯によるものであり、集計上の誤りではない。
東京都台東区に寄付先を自分で選びたい場合の選択肢
赤い羽根共同募金は地域に細かく行き渡る一方で、寄付者自身が使い道を選ぶことはできない。台東区を直接応援したい場合は、返礼品つきで使い道をある程度選べる「ふるさと納税」という制度もある。返礼品は台東区の特産品や名産品が中心で、寄付額に応じて実質的な自己負担額を抑えながら地域を応援できる仕組みになっている。台東区にも、ふるさと納税を通じて選べる返礼品が複数用意されており、その一例を紹介する。
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物品寄付という現物支給が動かす、東京都の助成の実像
団体別ランキングだけを見れば区市町村社協の優位に見えるが、金額の内訳をたどると、その他の団体が半数以上を占め、物品寄付という現金以外の助成が上位を押し上げていることが分かった。特殊浴槽整備のような数百万円単位の助成と、町会・自治会の数百円単位の助成が同居する幅の広さも東京都の特徴だ。令和6年度(2024年度)の東京都助成先一覧では、今回取り上げきれなかった団体も含めて確認できる。

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